ツンデレのかわいーコ

 

お友達のひとりに、すっごくかわいー男のコがいる。

 

 

男のコなんだけど、すっごくかわいい。仕草が、ふとしたときの喋り方が。かわいくてかわいくて、いじめたくなっちゃうくらいかわいい。いじめたりかわいがったりしてる。

 

 

でもその男のコは私とは違う世界に生きている。すっごく頭が良いその男のコは、その男のコ独自のルールの中で生きている。彼には彼の世界がある、っていうやつだ。

 

 

私は、今まで、そういう、別の世界への憧れが人一倍強かった。ちょっと下品だったりちょっと極端だったりちょっと変わっていたりするよーな世界に惹かれて、入り込みたくて、でも浸かりきることは出来なかった。あるいはどっぷり浸かってヒタヒタになっちゃって、もう出たいのに出られなくて苦しむこともあった。そんな感じで今まで私がすくすく育ってきたよーな世界とは別の世界に惹かれて、でもときには拒絶されて、生きてきた。

 

 

その男のコは、女とか男とかそういうの関係ない世界で生きているらしい。そういうことを話す彼に出会うのがもう少し早かったら、また、あの頃みたいに、辛くなっちゃうくらい好きになっていたと思う。私はいろいろな、全部の世界を理解したいって思っていて、それを理解できないとすごく辛く感じてしまい、ますます知ろうとしてしまう。理解できないものほど、美しく感じてしまう癖があるから。

 

 

その、かわいー男のコはツンツンしたりデレデレしたりしながら私に彼の世界を教えてくれる。男のコがたまに履くスカートはめちゃくちゃにかわいい。デレたときの彼の距離感はとっても近い。近くて近いので、私は息をとめる。

 

 

彼の話す価値観はすごくすごくおもしろい世界だけれど、私はもう恋人でない異性と同じ部屋にお泊りはしないし、ツンツンされて悲しくなったりデレデレされて嬉しくなったり一喜一憂しちゃうような相手の評価ばかり気にする女の子では無いのだ。

 

 

出会ったのが今で良かった。適度に遊びましょうね。