母親に年をとらないでほしい

 

母親が誕生日だった。

 

一緒にお菓子を食べてお祝いしたけれど、今日は私にとって重要な試験があったせいでなんだか慌ただしく過ぎてしまった。

 

最近の母親は人間ドックに行って、乳房検査なるものをしたそうだ。万歳したとき、のび〜となってあくびがでたらしい。上半身はだかなのに、そんなあくびが出ちゃうくらいゆるむなんて、慣れたのかな、おばちゃんになったってことだよねと笑っていた。

 

なんかの感情がわいたけれど、うまく言葉が出てこなくて、そんなことに慣れないでよぅと返すだけだったけど、その感情がなんだったのか、上京する電車のなかで考えていたら涙が出てきた。

 

 

お母さんがおばあちゃんになっていってしまうのが寂しい。こわい。その先を勝手に考えてしまって、お母さんがゆっくり年を重ねていくのが寂しくて、ぽろぽろ涙が出てくる。お母さんが年をとらないで、しかも、幸せで安心で楽しいことばっかりになれば良いのに。それで幸せに長生きしてほしい。

 

 

この気持ちをお母さんに吐露したら、かってにしなさないで、と笑うだろう。長生きするよ、と言ってくれるだろう。

 

 

誕生日前夜、生まれてきてくれて良かったなぁと言われた。私について。どうしたの急に、と返して、私はそれ以上なにも言えなかったけれど、私も、お母さんの娘として生まれてこれて良かったよ。

 

 

 

ずっと一緒にいられる保証があれば良いのに。