お前が言うか、

私の部屋はゴミ屋敷みたいだった。屋敷じゃないか、マンション。いや、ゴミというより、散らかり放題マンションかな?大学生の頃から、社会人1年目まで。一人暮らし、誰かが家に来るってなったら片付けていたけれど、なにしろ時間がかかった。

排水溝には長ーい髪の毛が溜まるし(染めながら伸ばしたり、パーマをかけて伸ばしたり、とにかく伸ばしてた)。トイレはオサボリリングができてるし。

使った食器を洗わないからにおいがして慌てて洗うとか、着るものが無くなりそうだから洗濯するとか、ホコリが気になるから掃除機やクイックルをするとか。そんな感じで過ごしてた。

なんでそんな部屋で我慢できてたかっていうと、別に我慢してなかった。そもそもマンションにいる時間、自分の部屋にいる時間がすごく少なかったのだ。

だいたい大学で授業を受けてから、サークル、飲みにいく。ご飯を食べて。それからカラオケでオールか友達の家で眠る、もしくは友達の家で話してカードゲームして。

ゼミが始まったら、飲み会やらゼミ室に泊まって作業やらますます忙しくなって、それから就活が始まって……。

結局、自分の部屋にはほとんどいなかったと思う。
たまに部屋にいて辛くなると一斉に片付け始めるんだけど、それでも無理なときは家族に助けてもらってた。だめだめな私。料理なんてしなかった。コンビニ頼り。

 

大学四年目、ほとんど彼氏の家に同棲していて、たまに必要なものを彼氏の車で送ってもらって自分の部屋に取りに帰ってたんだけど。今思えば最悪なんだけど、自分の部屋にはあげられなかった。ご存知の通り、散らかっていたから。

 

行きの車の中で、「あっ、ごめん。家の中入るつもりで送ってくれてるかもしれないけど、私のマンションは女性専用マンションだから……」と言ったときの彼の顔、まだ覚えてる。普通に入るつもりだったって。そりゃそうだよね。女性専用っていうのは本当だけど、どちらかというと部屋が散らかってるから入れてあげられないっていうのが本音。

 

そんなこんなで散らかり部屋の歴史は続き、引っ越して、社会人1年目。同僚の男の人も彼氏?も含めてよく人が泊まったけれど定期的な部屋の散らかりっぷりは相変わらずで。大学時代とは違って働いて働いて疲れてぐったり、料理はたまにするけれど、飲んだりラーメンだったりそういうものに社会人らしく先輩に付き合ってばかり。いま思うと最悪の健康状態……

社会人2年目、引っ越して新しい職場になってからだんだんとリズムが出来てきた。1年目の頃って、いつのまにか病んでたのかな?残念なことに脳が壊れていたのかもしれない。いまの私はなんとか一人暮らしとして動けてる。突然だれかが来るってなっても、ある程度対応できるし、洗濯と皿洗いと片付けは特に負担じゃないし、掃除もまあまあやってる。

でも、こうなるまでに結局、つまり、5〜6年かかってることになる。ペースができてきて、いい感じ!と思えるようになったのは8年目からだから、相当な時間がかかった。だから……高校を卒業して一人暮らしを始めようとする生徒たちにアドバイスするたび、私は「お前が言うか」と自分に突っ込んでしまう。

・ものは少なくすること、断捨離は定期的にやること。
・洗濯や皿洗いは毎日やるつもりで、洗濯は部屋干しでも良いから朝にやっちゃうと良いよ。
・風呂掃除はお風呂に入って、お湯を抜いて、そのまま裸でやってしまえば楽だよ。
・ホコリを見かけたらとるだけでも結構変わるよ。
・換気すること。
・トイレの洗浄剤、排水溝のぬめりとりは、どうしても使っちゃうけど依存しないこと。やっぱりあんまり体に良くないから。
・スーパーに行く気力がない日が多いなら、思い切って宅配を利用すること。生協おすすめ。

でも、これらって、繰り返しになってしまうけれども、私が社会人になってからやっとやーっと分かった(できるようになった)ことだから。だから、

 

私だって今もたまにさぼっちゃうし、疲れたときは自分に甘いけど、それでも一人暮らしできてるから大丈夫だよ。ゴミ屋敷になっても良いさ、実は私もね、一人暮らし初心者のときはね、

 

って、そういうこと生徒たちに話してあげれば良かったかな。