ユウキに会いたいな

 

今年の夏に、教え子が亡くなってしまった。

 

安らかな顔だったって。ねえ、死ぬときって痛かったり苦しかったりしないんだよね?それまですごく辛かったとしても、その瞬間は優しいものなんでしょ?

 

これは全人類にそうであってほしいという願望があって、そのせいでまことしやかに語られていることなんだろうか。

 

 

大病だったけど、なんやかんやで良くなって、ゆっくりゆっくり生きていってくれると思っていた。

 

 

コロナのせいで、そして彼の病気の関係で、お見舞いに行けなくなっていた。だからしばらく会ってなくて、そして、いつのまにかこの世からさらりといなくなっていた。気付かぬうちに。なんにも無かった、ユウキの声がするとか姿が見えるとかなにか感じるとかなんにも無く、知らないうちに死んじゃった。死んじゃったよ。ユウキが。

 

 

私はすごく大好きだったけど、ユウキにとって私が良い先生だったかどうか分からない。いや、良い先生だったとは言えない。自信がない。

 

 

 

 

お葬式に参列しようと思ったけど、体が動かなかったので行けなかった。疲れていた。そして、当日の朝、彼にもう一度会えるような気持ちで葬式の支度をしていたことに気付いてしまった。なんだか、最期にお別れを言えるような気がしてしまっていた。でももう話せないのだ。そう思ったらなんだか意気消沈してしまったのだった。

 

 

 

でも、骨になっちゃう前に、会っておいたら良かったな。それに、もし魂ってものがあって、もしそれがしばらくただよえるとしたら、私がお葬式に行ったら向こうとしては私が見えて嬉しかったかもしれない。私からは見えないけど。ていうか、ユウキが私のことを好きだったかどうかって、分からない。だから見えたとしても嬉しいかどうか。まあ、やめよう、こんなもしもの羅列。

 

 

 

ふと思い出すときがある。

なんとなく泣きたくなる、悲しさが込み上げてくる。今日は、会いたいなと思った。会いたいなと思ったら、会えないことがすごくつらくなった。会いたいのにもう会えないね。死ぬということは、もう会えないということだった。

 

 

ユウキ、自分が死んじゃったって分かってる?分からないうちに死んじゃったんじゃないかなあ。

 

 

 

会いたいなんて思ったら、会えないことがくっきり浮かび上がってくるから、そう思わないようにしていたんだ。でも、会いたいよ。ユウキ。