弟と暮らしてる

 

アパートを借りて、二人暮らししてる。

友人に写真を見せると驚かれるくらいの素敵なアパートだ。ヨーロッパをイメージされたアパートで、そこらへん一帯の地主さんが、ヨーロッパを旅行したときのイメージを持ち帰って作った素晴らしい「村」だ。お家賃はそこそこ、二人で割ったらまあまあ安いと感じられるようなところだ。アパートっぽい音漏れはあるし、コンビニや駅が遠いけれど、景色も外観も治安も良いので気に入っている。

 

弟と一緒に住み始めて、なんの苦労も不満もないというのは驚きだった。弟なのだから当たり前だろう、と言われたらそうかもしれないけれど、私は家族である父親や母親としばらく一緒にいると喧嘩してしまうので、弟と一緒に暮らして喧嘩になってしまったらどうしよう、と心配していた。

 

だけれども、そんなことなく、ここまで来れた。もうすぐ引っ越しで、3月から私たちはまた離れ離れで暮らす。私は実家に戻り、弟は寮に暮らす予定だ。寮の抽選に落ちたら弟も実家に戻るらしいけれど、そうならないような予感である。4人で暮らせたら良いなと思うけども。

 

どうしてうまくいったんだろうか、私たちの暮らしは。家族だからという理由以外で考えてみることにする。だって家族だとしても、私と父、私と母、だったら無理だったと思うので。こういう暮らしは。

 

まず、二人とも働いていないことは大きいと思う。学生は、遊んでるわけじゃないけど、基本的には自分のこと、研究にしても自分の関心のあることをやるのでストレスは社会人よりもだいぶ小さいはずだ。社会人ってやつは、社会を作る仕事をする関係で、「私」より「社会」を優先しなければならないことがあり、それがストレスになることがあると思う。私の場合、ストレスがあると、相手は悪くないのに自分の虫の居所が悪くて不満をぶつけてしまうことがある。そして、そういうことって割とあるらしい。

 

次に、干渉し合わないことである。仕事を辞めた直後、最初のほうは、私の職業病がなかなか改善されずに「大丈夫?」「起きなよ」などと弟にストレスを与える言動をしてしまっていたが、それが徐々に減っていった。ご飯も自然とほとんど別々になったし、わたしも弟もマイペースに家事をし、たまにゴミ出しやら目覚まし(「朝、起きたら声かけてくれ。」とか)を依頼し合う程度である。それが居心地の良さに繋がっている。それぞれに苦でない家事があり、私の場合は洗濯や料理、弟の場合は皿洗いやお風呂掃除で、ほとんどそれはお互いに任せている。

 

さらに、上記に関わることだが、お礼を言うことである。弟はこれがかなりちゃんとしていて、言われると嬉しいし、やってあげて良かったなという気分になる。私も割とちゃんと言うほうなので、良好な関係性に一役買っていると思う。

 

最後に、無理をしないことである。これも先述した内容と被るが、例えば洗濯。私もなかなか出来ない期間、弟は洗濯を基本的にやらないので、洗濯物がかなり溜まることになる。私の旅行帰り、たくさんの洗濯物に洗面所が埋まっていたときは、疲れもあってイライラしたが(「こうなること見越して洗濯くらいやっといてよ」という気持ちで)、自分の洗濯物を優先して洗濯することにして、無理せずやってみたら、全然イライラすることでなかったことに気付いた。弟が気まぐれに洗濯物を回して、そのあと干すのを忘れて生乾きの服が洗濯機の中に入れっぱなし……ということがあっても、そういうときはそれらをいったん取り出して自分が洗いたい服を先に洗う。そのあと、余力があったら弟のものを洗ってあげる。そういうことにしたら、すごく気持ちが楽だった。こうしなきゃ!という気持ちが無くなったので、楽で、無理をしないことは良いことだ。

 

これから実家に帰っても、こうやって、弟と過ごしたような日々を家族で過ごせたら良いなと思う。私が仕事を始めるし、一緒に暮らす相手は父と母になるし、なにより東京じゃないことに不安はあるけれども。マイペースに頑張ります。