「死にたい」と思う朝がなくなった

 

仕事を辞めてから,死にたいと思うことがなくなったことに気付いた。

仕事については,すごく良い経験になったし頑張っていたと思うけれど,言ってしまえば自分ではどうしようもないことにあくせくしたり苦しくなったりすることが辛かった。

生徒たちに対しての責任感,おじさんへの恐怖で潰れそうになりながら,朝,ぐうっと何か嫌な気持ちがせりあがってくることもあった。自転車で職場である学校に向かいながら,大きな交差点で,ここで轢かれたいなと思ったことも何度もある。事故にあいたい,倒れたい。そんな風に思うくらいなら休めば良いのに。でも運良く私は潰れなかった。快活で明るくて仕事をきっちりやって生徒にも好かれて保護者からも信頼があつくて,仕事が大好きな私。おじさんともうまくやる私。必死で,転びそうになりながらそれをやり続けた。

 

 

仕事はやりがいがあって,しかも私はできるほうだった。少なくともそう評価されていた。だからこそ,大学院に通うにしても仕事は続ける。そう決意した。お金の問題もあったけれども。

 

 

でも,それよりも研究したい気持ちが大きくなったから,辞めた。もっと時間をつかって研究に専念したいって気持ちは大事にしたかった。だって,せっかく大学院に入ったんだから。

 

 

人生の風がうまく吹いたような感じで,すごくあたたかい送別会をしてもらった。その前に,ひどい辞め方をした人や,パワハラを訴えて辞めた人がいて,そのひとたちのおかげだと思う。それまでは結構,辞める人に対して酷い対応をする職場だった。

 

 

辞めてからしばらくは,おかしな感じだった。

 

 

 

なんとなく焦って,働きたいような,このままで良いのだろうかとか,いろいろ考えちゃうのだ。でもそれは正常な反応だってことも,心理学やらなんやらの本から知っていた。いままでの環境に,状態に戻ろうとしちゃうのだ。でも,そこを乗り越えたら,新しい普通が待ってる。

 

 

いま,私は待ち望んだ新しい普通の中にいる。死にたいとはもう思わない。

 

 

教員もできるけれど,もうしようとは思わない。