3年生のあなたたちへ

 

卒業してしまいますね。なんだかんだ言って、寂しいですね。私はお別れに弱いところがあるので、だいたい12月頃からお別れに向けて気持ちの準備を始めます。卒業についてもそうだし、留学からの帰国のときも、恋人との別れのときも。だから、みんなが騒ぎ始める頃には「お別れ」について飽きていることもあります。まだお別れしていないのに、その人(たち)と別れることに慣れてしまう……という感覚です。伝わりますか?そんな風になってしまったら当日に盛り上がらなくてつまらないですか?でも、それくらい冷静な部分も持っている状態じゃないと、寂しい気持ちが収まらずにずーっとずーっと悲しさばかりに気を取られてしまうので、準備は必須のことなのです。もちろん当日も感情が動きます。涙が出て来たり、寂しいと強く思います。でもしばらくすると晴れやかな気持ちになります。そういうものにしがみつくのはやめて、「さあ次!」「また頑張るぞ!」という気持ち。

 

ただ、今回、あなたたちが卒業することについて。お別れを言ったあとに「さあ次!」という気持ちになれるのか。あまり自信がありません。あなたたちの存在は私にとって、意外と、大きかったのです。それに気付かされました。卒業式への準備はしていましたが、あなたたちがいなくなってしまうことについては準備出来ていませんでした。卒業式がただの行事で、それが終わったらまたいつもの日々が始まるのであれば良いのに。いなくなっちゃうんだなぁと思うと、心にぽかっと穴をあけられたような感覚になりました。これから、準備を始めなければと思います。

 

私とあなたたち、教員と生徒という形で出会えて本当に良かったと思います。私がいろいろ経験していくなかで、あなたたちからの上から目線の助言や聞き逃しそうになる他愛のない言葉たちが、的を得ていたり正しかったりすること…もあることに気付きました。

 

あなたたちのネガティヴな感情を肯定することはできないけれど、振り返ってみて大事なことを教えてもらうこともあったと思います。あなたたちが私にぽいぽい投げてくる刃物のような言葉や麻薬のような意地悪な言葉を、私は受け止めました。そして、その言葉を私の人生に活かしていこうと思います。ちゃんと覚えていようと思います。あなたたちの言葉と、もしかしたらその言葉以上に私が考えた意味を。私が覚えていなければいけない、あなたたちとの約束を。

 

私があなたたちに与えられた影響はあるのだろうか?と思います。良い影響を与えられていたら、こらほど幸せなことはないです。あなたたちをより明るい方向に少しでも引っ張ることが出来ていたなら、とても嬉しいです。

 

さて、みなさん。いままでありがとう。思い出に頼りたくなったら、励まされたくなったら、助けてほしくなったら、いつでも会いに来てください。会えなくなるのは寂しいけれど、本当は寂しいことじゃなくて、むしろ嬉しいことでもあるんです。あなたたちの未来が明るければ、自分で頑張れる日々があれば、私たちを頼ることはないと思うから。

 

どうか明るい未来を進んでください。卒業本当におめでとう。