自分の寂しさにぞっとしてしまって悲しくて泣きそうになった
どこかワクワクした気持ちを持っていた。「何者」の映画を観終わって、小説の「何者」を読んで。ちょっと間に洗濯をしたりシャワーを浴びたりしながらもワクワクしていて「なんでワクワクしてるんだっけ?…あ、何者の続きを読むんだった!」って、胸を高まらせていた。
どうしてかなぁ、と思ったんだけど、これは友達が出来た感覚に似ているんだ。この小説に出てくる人たちと私は友達になれると思う。仲良くなれると思う。この友達感や仲間感、薄っぺらいとしても、ギスギスした感じも、飲み会の楽しさも、全部全部経験したことがあると思った。あの辛さも全部ひっくるめて、もう一度体感したいと思った。この人たちの仲間に入れて欲しい。もがきながら輝いているこの人たちと一緒に過ごしたい。
ここまで自分の気持ちが分かって、泣きそうになってしまった。なんて寂しいんだろうって思って悲しくなった。この人たちとは会えないし、一緒に時間を過ごすことなんてない。私は自分の思い出に縋りたくなってしまっているんだ。自分の思い出に助けてもらわなきゃいけないくらい、架空の友達と一緒に過ごしたいと思ってしまうくらい、いまの人生を楽しめていないんだ…と思って……
私は、人生を戻したいなんて絶対思わないような人生を送る人間だと思っていた。
人生を戻したいというのは大袈裟だとしても、人生をどんな状況でも楽しめる人間だと思っていたのに、私はそうではなかったのだろうか。
明日への希望で心を踊らせるような、胸の奥から全身へとわきあがり行き渡るような幸福感を、いつから感じなくなったのか。
こんなことに気付いちゃって、あと1年以上もここで働いていけるのかな?