「何者」は苦しくなるから読めない

 

と思って、買えていなかった。確か本が発売されたのが私が就活を終えたばっかりの時期か、あるいは終えたけれど就活を生々しく覚えていた時期だった。私は本を立ち読みしてから買う派なのだけども、立ち読みしていてあまりにもリアルで痛々しくて、ぐうとなって、本棚に戻したのを覚えている。

 

今日はちょっと田舎のほうに行って、「何者」の映画を観た。やっぱり痛々しく鋭く私は苦しくなることもあったけれど、それ以上に入り込める内容だった。それで、帰りに本を買った。出てくる人たちと出てくる人たちが過ごす時間を好きだと思った。こういう時間を私も過ごしていたなぁと愛しく思った。もう過ごせないのかな?また過ごしたいなぁ。

 

こういう作品を私も作りたいと思った。経験を本にするっていうのは難しいことなのに、それをやってのけるのはかっこいい。みんな、本に出来るような経験はしているけれど、そのときの気持ちや考え方や感じたことを文字に出来るか、文字にしておけるか、あるいはその時に文字にしなくても、あとから鮮明に思いだして書けるか、これが結構難しい。書いている途中で飽きてしまうとか、書いていたらスッキリしてどうでも良くなってしまうとか、人に見せるというよりは自分のための文章になってしまうとか。そういうところで落とされずに、最後まで文章に出来ても、それが他の人に必要とされるかどうか…他の人が読みたいものになるかどうか……。それを考えると出版にこぎつけられる人は本当〜〜に少ないんだなと思った。せめて私は私なりに、忘れないように書いていきたい。