涙よりも嗚咽が先

 

 

私って、求めてばっかりだったなと思う。傲慢だった。いまだって、そうなってしまうことがある。母親に対して、父親に対して。やってくれるのを当たり前って思っていた。

 

私がやってあげたいなって思うことが、最近出てきた。やっと。どうして今まで、こういう感情がなかったんだろう。車の運転とか予定を立てるのとか、電車に乗るのをリードするのとか。私が頼まれることもあることに気付く。親を心配する気持ちが生まれたことに気付く。

 

安心し切って甘えきって、愛情にどっぷり浸かって、にこにこ生きていた。情けないけれど、いままで、私は心配されたり与えられたりする対象であり続けていて、思いやりや愛情をもらってばかりだったのだ。自分から何かをするとかそういうことが全く思いつかない、そういう私だったのだ。

 

心境の変化があることに気付く。

 

弟が二十歳になった。私たち、誰も子供じゃなくなった。三人で食事をしていて、母親が「昔は私がふたりの手をひいて電車に乗っていたのに、今日は私がもたもたしちゃったね」って言った。私が「任せて」って思った。

 

どうして私は1人で暮らしているんだろう?と思った。仕事終わりに家族でご飯を食べられるのってすごくすごく幸せだと思った。これが毎日あれば、どんなことがあっても大丈夫だと思った。家族で暮らしている人って羨ましいなと思った。また家族で暮らしたいなぁ。四人で暮らしたいなぁ。

 

お母さんも、お父さんも、弟も、心配しないで。私がいるからね。私が安心をあげたい。みんなが幸せに生きられるように。

 

ぐるぐる考えながらシャワーを浴びていたら、よく分からないうちに、口がぱかってあいて、嗚咽が漏れて、涙が出てきた。いままで何も出来なかった自分を反省している気持ち、うまく言えないような寂しい気持ち、これから頑張りたいっていう決意、、?分からない。言葉にまとめられない気持ちが涙になったみたいだ。

 

結婚に焦る気持ちが無くなったな〜と思う。でも、家族を守りたいって思える気持ちは分かった。家族を大切にしたいとか守るとか幸せにしたいとか、人に対する愛情の気持ち。これがそうなのかと思った。初めて気付いた。きっといつか、こういう気持ちを持てる人と結婚するんだね。